KHAAN は 2023年10月 にオープンした、バンコクの新しいファインダイニング。
オープン直後から、ミシュランガイドや Tatler Asia によって「革新的な新店」として紹介されています。
テーマは “From Street Eats to Royal Feasts(ストリートフードから王宮料理へ)”。
タイ各地の季節の特産物を活かし、伝統的な料理を芸術的に昇華させるコースが特徴です。

ずっと試してみたかった女性シェフのモダンガストロミーKHAAN に行ってきました。素晴らしい食の体験でしたよ!
KHAANとは?
KHAAN を率いるのは、タイの実力派女性シェフ Aom Sujira Pongmorn(オーム・スジラ・ポンモーン)。
バンコクのチャルン・クルン通り出身で、幼いころから家族の台所で料理を手伝い、6歳で初めて炭火を扱ったといいます。
高校卒業後、名門 Mandarin Oriental Bangkok の “School of The Oriental Hotel Apprenticeship Program (OHAP)” を修了。その後、同ホテル内のレストラン Lord Jim’s で経験を積み、さらにミシュラン星を持つシェフたち(Juan Amador、Thomas Keller など)と共に研鑽を重ねました。
その後、Sra Bua by Kiin Kiin(Siam Kempinski Hotel) にて分子調理法を学び、Issaya Siamese Club ではエグゼクティブシェフとして腕を振るいました。
さらに、ミシュラン星付きレストラン Saawaan にも在籍した経験を持ちます。
Aom は前述の Young Chef Award に加え、KHAAN としても複数の受賞歴を持ちます。
- Tatler Asia’s Best New Restaurant 2024
- Tatler Best 20 Thailand Restaurants 2025
- Michelin Guide “Recommended” Bangkok 2024
- Top 25 Restaurants Bangkok 2024
(参照:khaanbkk.com、tatlerasia.com、Tatler Asia、Michelin Guide)
立地
KHAAN はプルンチット駅から徒歩圏内という好立地で、静かな住宅街にひっそりと佇みます。
赤と白を基調にしたファサードが印象的で、洗練された外観からは中の温かみある光がこぼれ落ちます。
店内の雰囲気


店内は赤と白を基調にしたモダンでスタイリッシュな空間。
女性シェフの感性が随所に感じられ、柔らかく上品な温もりが漂います。
夕暮れどきに訪れると、料理が運ばれてくるたびに大きな窓の向こうで日が沈み、まるで一枚の絵画のよう。
ライトアップされた赤い壁と、器の白が対照的に映え、視覚的にも美しい体験です。
いざ実食


タイの農夫を描いた柔らかな水彩画のウェルカムカード。そこには、シェフAomからの温かなメッセージが添えられていました。
「タイのストリートフードの魂を、ファインダイニングという舞台で新たに語り直したい。」
その言葉のとおり、KHAANの料理は“伝統と革新の対話”そのもの。
タイの土地と人への敬意が、一皿ごとに静かに息づいています。


11品構成のテイスティングメニュー。
- 11-Course Tasting Menu: 3,850 THB++
- Wine pairing (4 glasses): 1,950 THB++
- Wine pairing (6 glasses): 2,450 THB++
- Tea pairing: 690 THB++
(※VAT 7%およびサービス料10%別)
「タイの四地方」を表現したアミューズブーシュ


南部を代表する一品は、卵の殻に入ったスパイシーイエローカレー。
ゆるめの卵カレーにこぶみかんの葉パウダーがのり、ピリッとした辛さが舌を刺激します。
中部地方の前菜は、イエローヌードルと緑豆、ピーナッツソースのコンビネーション。
香ばしさと甘み、豆の土っぽさが絶妙なバランス。
それぞれの皿が異なる器と質感で登場し、まるで小さな芸術作品のようです。


ワインペアリングにはオーストリア産ワインが多く採用されており、「タイガープラウンのライムソースがけ」には、酸味と甘みを併せ持つ白ワインが完璧にマッチ。
タイガープラウンのライムソースがけ


タイ南部産タイガーエビをライム、ナンプラー、チリで和えた一皿。
伝統的な「クンチェーナンプラ」をモダンに再構築し、ミントが清涼感を添えます。
サクサクのトマリークラッカー


上にはアンダマン産のタイガーシュリンプと食用花。“Texture(質感)”と“Balance(バランス)”が見事に共存した前菜。
自然素材と食の彫刻の融合を感じます。
南部タイの風土を映す発酵料理(沢蟹とサンヨッド米)


発酵させたサンヨッド米とサワガニを組み合わせたこの一皿は、KHAANの中でも特に印象的な“土の料理”。
バナナリーフに包まれ、籾殻の上で香ばしく仕上げられた姿は、まるで南部タイの田園をそのままテーブルに持ち込んだかのよう。
Chef Aomが「My signature dish」と語るのも納得の一品です。
アメリカ産オイスター × トムカーフォームソース


ピーナッツバターを加えたスラータニー産オイスターペーストを溶かしながら、上にのせられたココナッツスープの泡(トムカー)とともに、アメリカ産のふっくらとした牡蠣を味わいます。
泡のほどよい酸味、ナッツのまろやかなコク、そして牡蠣の塩味が重なり合い、口の中で繊細な三重奏を奏でます。
シグネチャーのトマトグラニテ


ストリートの刺激と王宮料理の上品さをつなぐ、
清涼感あふれる口直し。
ほんのり甘く、ひと息つける“静”の時間を与えてくれます。
タイ料理の香りの原点を象徴するハーブ群


レモングラス、ディル、ガランガル、コリアンダー…。ひとつひとつの香りが、皿ごとの物語と呼応します。
「香りこそ、タイ料理の哲学」であることを思い出させる演出。
地元漁師が誇る白身魚のハーブ仕立て


澄んだスープが魚の旨味を引き立て、繊細で上品な味わいに仕上げられています。
“静寂”をテーマにしたような穏やかな一皿。
ラムシャンクとムンバイカレーのクライマックス


長時間煮込まれたラム肉はナイフが不要なほど柔らかく、スパイスの香りとタイらしい繊細さが見事に融合。
ハロウィンシーズン限定の3種のかぼちゃデザート


シェフが目の前でフランベし、炎の中に季節の遊び心と温かさが宿る瞬間。キャラメルとバターナッツの香ばしい余韻が印象的。
プティフール(Petit Fours)


貝殻のように絞られたピンクのマシュマロムース


燻製香が漂うチョコレート


鮮やかな緑色が印象的なパンダンのデザート。
一皿一皿に、タイの大地と時間、そしてシェフAomの哲学が息づいている。
「KHAAN」での食体験は、まるで“食べるタイ旅行”でした。
各サイトの評価
- Google Map: ★4.8 / 5(レビュー数 約575件)
→ 多くの口コミで「料理の創造性」「雰囲気」「サービス」の三拍子が高評価。 - Tripadvisor: ★5.0(“Excellent” 評価が大多数)
→ 「料理ごとに丁寧な説明があり、全ての皿に驚きがある」との声。 - Michelin Guide: “Recommended” レストランとして掲載。
→ 「伝統と革新の見事な融合」と紹介されている。 - Tatler Asia: “Best New Restaurant 2024” 受賞。
→ 「タイ料理の未来を象徴する場所」と評される。
(出典:guide.michelin.com、tripadvisor.com、tatlerasia.com)
まとめ
KHAANは、「From Street Eats to Royal Feasts(ストリートフードから王宮料理まで)」というテーマのとおり、タイの伝統を敬いながらも、現代的な技法で再構築する革新的なダイニング体験を提供しています。
シェフAom Sujira Pongmornが生み出す一皿一皿は、「素材・香り・火入れ・記憶」のバランスが絶妙で、どの瞬間にも“ストーリー”がある。
ときに懐かしく、ときに挑戦的に、タイという国の多層的な魅力を舌の上で旅するようなコースです。
特に、サワガニと発酵米の一皿やトムカー泡の牡蠣料理など、“土地の記憶”を感じさせる料理には、
KHAANが掲げる「伝統と革新の対話」が最も美しく表現されています。
食後に添えられるパンダンのデザートやプティフールまで、最後の一口に至るまで物語が途切れることはありません。



記念日や会食、デート、女子会など、さまざまな特別なシーンにおすすめ。タイの食の旅を楽しみながら、心に残るひとときを過ごしてみてください。










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